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取り戻せない心

ちび猫はしばらく学校を休みました。
その間は学校のことは何も言いませんでした。

私たちが仕事から帰宅すると、いつも家の中がきれいに片付いています。
何事にも精一杯のちび猫なので、休んでいてもじっとしていられないのと、親に対してどこか申し訳ない気持ちで、掃除していたのでしょう。

ちび猫は決して天才肌ではないけれど、努力を惜しまない性格で成績も悪くありませんでした。

そして強い雨の日の夕方にはよくメールが来ました。

「お父さん、連れて帰ってくれる?」……って。

学校から自宅までは、車で30分ほどの道のり。 お腹が空いたなぁ~って、二人でコンビニでパンを買い、他愛もない会話をするのが楽しかったのを覚えています。

昔のメールを見ながら、早く元気になるといいな……そう思っていました。

でも状況はそう簡単ではありませんでした。

仕事中、ちび猫からメールがきます。

「忙しいのはわかってるけど、これからのこと一緒に考えてください」

もちろんすぐに返事を返しました。

「大丈夫だよ。人生は長い。今は焦らないで時間をかけてゆっくり考えよう」

でも私の送ったその言葉は、何の励ましにもならなかったことにすぐに気づかされることになります。
ちび猫の心は自分を保てないほどに疲弊し、自分の存在すら否定し始めていたのです。

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被害者の救済か加害者の更生か

警察沙汰になるような事件を起こし、被害児童に本当に申し訳ないと思うのならば、自主退学すると思っていました。
自分の子供がそんな事件を起こしたのなら、私はそうします。
被害者が加害者と会いたくないと思うのは当然のこと。
だったら辞めるべきは加害者で、被害者が学校に来れなくなるなんていうのはおかしなはなし。
私は今でもそう思っています。

でもその学校はそうではありませんでした。

【被害者の救済】より【加害者の更生】が大切だったのです。

ちび猫から後日聞いたある教師の話。

加害生徒も反省して謝りたいから、会って話してみろ……と被害児童に告げたらしいです。
しかももう部屋まで準備して、加害生徒を待機させて。
くだらない『更生のシナリオ』です。

性的被害者に加害者を合わすこと自体、常識では考えられない愚行です。
しかも保護者に何の相談もなく、上下関係の立場の強い教師から、逃げ場のない被害児童に告げたとあれば、常軌を逸しているとしか思えません。

そして、加害者の反省文は教師の添削したといういわくつきのもの。
反省なんかしてはいないのです。
していれば、とっくに自主退学しています。

……この時、ちび猫も迷いを感じ始めていました。

本当に正義が勝つのだろうか……。

悪いことした人間は、きちんと裁かれるのだろうか……。

でもまだ力のないちび猫たちは、信じるしかなかったのです。


警察も頑張って動いたようですが、加害者全員の証拠を押さえることはできず、加害者の中でも上下関係があり、証拠隠滅に走ったりしてみんなが満足のいく結果ではなかったようです。
でも、学校側は間違いなく退学の判定だろう。
関係者の保護者たちは、誰もがそう思っていました。
もちろんちび猫たちも。

そしてひっそりと学校に集められた関係児童の保護者達。

保護者側……被害者からの意見すら何一つ聞かれないままに、学校側から告げられた決定事項は、ただの謹慎処分。
みんな唖然です。

この学校には正義は皆無です。

あるのは体裁と校長のくだらないプライドだけ。

『加害者も見捨ててはいけない』だそうです。でも被害者をすでに見捨てています。
ろくに反省もしていない加害生徒を登校させれば、被害児童が不登校になるのは誰だってわかります。

実際、そうなりました。
当然です。
そして校長はそのまま定年で学校をさりました。
なんという無責任な教育者か……。

ただ、そこから先は私の予想を超えていました。

ちび猫が学校を休みたいと言ったのです。
いや、それ自体は良く理解できました。
心も体も疲れ切っていたので、しばらく休んだ方がいい。
そう思いましたから。

しかし、その時すでにちび猫の心は壊れていたのです。

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苦闘の始まり

ちょうどその頃は仕事に追われていて、家に帰れずに会社に泊まり込むこともありました。

ちび猫が通う学校で、大きなトラブルがあったことは聞いていたけれど、ちび猫は被害者の同級生を必死でかばって奮闘していたので、応援はしていたけれど、自ら動くことはありませんでした。

仕事が忙しかったせいでもあるけれど、今思うと、この時もっと解決に向けて積極的に動いていれば、結果は大きく違っていたと思います。
判断が甘かった……反省すべき一つです。

大きなトラブル……警察も入ってきたのだけれど、加害生徒の手によって同級生の個人情報がネット上にばらまかれた事件。性的な内容も含まれていたので、事は重大で、思春期の子供には心に大きな傷を負わせることは容易に想像できました。

最初にその話を聞いた時は、事件から数週間後だったので被害児童の精神面が心配で、教育委員会へカウンセリング等の導入を勧めておきました。
心のケアが遅れると傷が言えるのにも時間がかかります。
特に性的被害者の場合は、注意すべき事項です。

教育委員会からは2~3日後に返事が来て、そのように指導してまいりました…という返事でしたが、実際にカウンセリングがきたのは3ヶ月以上経ってからでした。

教育委員会並びに学校側がこの事件の対応を見誤っているということを、この時もっと強く非難すべきでした。
被害児童が学校に登校できなくなったり、躁鬱状態であったのはあきらかで、本来ならば学校がカウンセリングや精神科への受診を勧めることをしなければなりません。
そして校内で犯罪行為が起きた時は、躊躇なく警察へ届け出るように文科省から通達されていますが、被害児童が自らの足で警察に向かうまで、警察へ行くことを勧めなかったようです。

被害者の救済ではなく、面目の方を重要視しているのは明らかだったのです。

……この状態を放置した私には今さらとやかく言う権利はありません。
でも残念に思います。

ただ、ちび猫は頑張っていました。
被害児童の為にいろいろと走り回っていました。
被害児童が一人にならないように……。
証拠品が隠滅されないように……。
他の生徒が騒ぎ立てないように、極秘に……。

でもそれは、幼い心には大きな負担でした。

ちび猫は来る日も来る日も、教師から生徒指導室に呼ばれます。
事情を良く知る生徒から情報を聞くことは、当然必要です。
しかしそれは、度が過ぎれば教師のパワハラになるのです。

クラスにいれば毎日のように教師から呼び出されます。
でもクラスメイトであっても、被害者のことを考えれば事情は誰にも話せません。

……そしてそれが続くうち、クラスメイトはちび猫に白い目を向けるようになりました。
毎日のように生徒指導室に呼び出されるちび猫が、何もやってないはずはない……誰だってそう思います。
それでもちび猫は、頑張り続けました。
正義は必ず勝つと信じながら……。

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不思議な縁と勇気

何から……どこから書こうか迷うのだけれど……。

もうずいぶん昔、黒いネコのサイトを見た方からメールが送られてきました。
頻繁に更新していた時期なので、それまでもかなりの数のメールはありました。
中には、雑誌掲載のお願いや某小説賞の情報をサイトに掲載して欲しい等の、黒いネコにとっては本当にありがたいものもありました。

そういった中でそのメールはちょっと異質なものでした。

初めの文面が、『わたしは、うつ病で外に出られません』だったのです。

その頃の黒いネコは、『うつ病』というものを良く知らず、精神的な病、とだけ理解していました。

メールは、黒いネコのショートを読んで少し感動した……というか、自分もそう思えるようになりたい、という感じの内容です。
だから当たり障りのない文章でメールを返しました。
『きっとそう思える日が必ず来ます。だから頑張ってくださいね』と。

そして翌日、彼から再びメールが届きました。
『僕は頑張っているんだ。わかったようなことを言わないでください』という内容です。
実際の文章はもっと長いものです。

びっくりして、わけがわかりませんでした。

元気づけようと送った言葉に、怒りの返事が返ってきたのですから。

本当はそのまま放置した方が良かったのかもしれません。
でもその時は簡単に分かり合える気がしていたのです。
だから『何かを強制しようと言っているわけではないのですよ。頑張って……というのは、応援します、という意味を込めたものです』という風に。

そしてまた彼から送られてきたメール。
必要以上に馬鹿丁寧な文章……
『あなた様と会話するのは僕にとっては苦痛でなりません。再びメールを送ることの無いようにお願いします』

???

全くわけがわかりませんでした。

苦痛? 何が?

一般の人がそうであるように、うつ病に関して何の専門知識を持たない黒いネコの思考回路では、自分で納得できるような答えは見いだせなかったのです。

それからはメール送りませんでした。相手を傷つけたくはないし、自分も傷つきたくはないし。

それから半年くらい後、ネット上で仲良くなった方がいたのですが、その方もうつ病で今、療養中だと知らされました。
ネット上の会話では全くわからないほど饒舌に会話していたので、想像もしていなかったのですが、黒いネコとの会話の中でストレスを受ける部分もあって、それを改めて欲しくてそう告げたのです。

ただそれまで多くの人とメールしましたが、普通に会話していて楽しむことはあっても、怒らせたことはありません。
そのどこが良くないのか想像すらできません。

そこから本屋に直行です。

うつ病に関する本を買いあさりました。
普通の書店にはない、精神疾患の専門書もネットで注文。

……そして初めて気が付きました。
黒いネコに足りなかったものは、相手に対する『理解力』だったのです。

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理解が最も必要な病

体調が悪かったり病気にかかると熱が出たり、顔色が悪かったり……酷くなると黄疸が出たり。

怪我はもっとはっきり認識できますね。

でも、うつ病はなかなかわからない。
うつ病に限らず、ADHDやアスペルガーなどの精神疾患もそう。

これらの精神疾患は、周りの理解が最も必要な病気です。
でも同時にもっとも理解が得にくい病気なのです。

だからなかなか抜け出せずに、苦しみはどんどん大きくなっていきます。

精神疾患という言葉を素人考えでそのまま受け取ると、心の病だと思いがちです。

でもこれは間違い。 精神疾患は脳の機能障害と思った方が正解です。

原因は病気によって様々です。 先天性の遺伝子構造から派生するものや、事故で脳に何らかの傷を追ったり、強いストレスを受け続けたり……。

現代医学では治せないものもあります。 うつ病のように良き理解者と健康な生活を得さえすれば、劇的に回復できるものもあります。

自分の大好きな人が、ある日突然、別人のような言動を取ったら……。

ほとんどの人は驚いて一瞬は戸惑うかな。 だけどきっと嫌いにはなれず、ともに苦しんで疲弊して……。
かなり我慢強い人でも、まともに向き合って頑張り続けるのは厳しいです。
漠然とどうしようもない日々を過ごしていても、状況が改善されているのかどうかさえわからない。

でもね、病気だとわかれば、いろんな対処ができるんです。
もちろん、支える自分の気持ちにも変化があります。
日々いろんなことを確認して、良い方向に向かっていることを実感できるってことが、支える人を励ましてくれます。

……あなたのそばにはいますか?

あなたを理解してくれる人。

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